A君、B君の弟、C君、少しD君の話。
先日。
地方に住んでる兄が数年ぶりに実家に帰ってきたときに話したこと。
私は何の気なしにこんなことを言った。
「そういえば子供の頃サッカー強かったけど、誰もJリーガーにはなれなかったかね?」
私が幼少期に住んでいた地域ではサッカーが盛んだった。
通っていた小学校のサッカーチームが強く、OBがお正月にやってる高校サッカーの試合に出場しているのをテレビで観て興奮したものだ。
当然のように私たち兄弟もサッカーチームに入っていた。
特に兄の学年は県大会でも優勝するレベルだった。
と書くと私たち兄弟もサッカーが上手かったのかと思われるかもしれないが、強かったのは私たちの入っていたチームのAチーム。
我々兄弟はみんな揃ってBチーム、つまり2軍だったので別にサッカーは上手くない。
ま、要するに身近にサッカーの上手な子たちがいっぱい居たってことよ。
だから学校で将来の夢について書く作文では「Jリーガーになりたい!」と書いている子が多かった気がするんだよね。
私たち家族は、私が小学4年生の時に引っ越したので、
その時のメンバーが今どうしているのかは知らない。
数年間年賀状のやり取りはしていたが、それもほどなくして途絶えた。
私に関しては引っ越してからサッカー辞めて野球を始めたし、サッカー自体への興味関心が遠ざかっていた。
朝食の時、兄がワールドカップの話をしていたんでなんとなくサッカーをやっていた子供の頃を思い出して訊いたんだと思う。
「そういえば子供の頃サッカー強かったけど、誰もJリーガーにはなれなかったかね?」
と。
その質問の中には、どうせ夢なんか叶うワケがない、現実は甘くない、みたいな気持ちも間違いなく含まれていたと思う。
私は30代後半。兄はもっと年上だ。
これから同級生でJリーガーになるという人が現れる可能性は極めて低い。
みんな一生懸命サッカーやってたけど、きっと誰もなれなかったのだ、Jリーガーには。
だが、
ため息交じりのその質問に、
斜め上の回答が来た。。。
兄「あー。モシャモシャ。同級生でJリーガーは居なかったけどね、モシャモシャ。JリーグのチームのGMになった人なら、モシャモシャ、居る。もうGM辞めてるけど。」
姪っ子姉妹が残したトーストをモシャモシャと食べながら兄がこんなことを言い出すではないか。
は?と驚く私。
私「GMってあれじゃん、
めっちゃ偉い人じゃん。。。」
※我ながらこのセリフ、頭悪いなー。
「うん」といいながら兄はポッケからスマホを取り出しちょちょいと検索。
「ほれ」とトーストの粉が付いたスマホの画面をちょっと面倒くさそうに見せてくる兄。
覗いてみると、、、
わ!ビックリ!
ホントだ。。。
スマホの画面には兄の学年で主力だったA君が写っている。。。
パリっとしたスーツを着てちゃんとした大人になっている。。。
いかにも仕事のデキる男といった感じだ。
私「もしかしてJリーガーになるより難しいんじゃないの、GMになるのって??
考えたこともないよ、GMになろうなんて。」
そうねぇ俺もこないだ聞いた時は驚いたよとかなんとか言いながらトーストを貪り食べている兄。
私は興奮気味に
「A君うちに来たことあるよね?もしかして、お、俺、A君とス、スーパーファミコンの対戦とかやったことあるんじゃない?マリオカートとか!」
と兄に訊いたが、今思うと何故そんなことを訊いたんだろうか。
スーパーファミコンどころか、
それこそ一緒にサッカーしたことだってあっただろう、
未来のJリーグチームのGMと。
兄はコーヒーをすすりながら
「けんけんはA君のお父さんに『コイツは可愛いから連れて帰る!』って言われてたよね。」
と笑った。
「けんけん」とは私のニックネームです。
マイ・ブラザー・コールズ・ミー・”ケンケン”。
ビコーズ・”ケンケン”・イズ・マイ・ニックネーム。
兄が高校生の頃。A君と数名の兄の同級生たちが出場した高校サッカー大会の試合を兄弟でテレビで観たのは覚えている。
その後すっかり忘れていたけどまさかそんな立派になられていたとは。
学生時代から選手として優秀だったが何かしらの理由で選手としての自分に見切りをつけ、GMという形でJリーグに関わるなんて。
自分では想像もできない。
思いのほか興奮している私にちょっと引き気味の兄は
「まぁA君の経歴はウィキペディアに書いてあるからさ。」
と言った。
ウィキペイーディアーゥ!!!
フーフー!!!
ウィキペディアと聞いてさらに興奮するウィキペディア大好きっ子な私。
すげえな、A君。
ウィキペディアあるのか。
そりゃ当然かー、GMだもんなー。
もうウィキペディア大好きー!
著名人にあって我々一般人にないもの。
それはウィキペディアさ。
私の興奮が冷めやらぬうちに兄が続けて教えてくれた。
兄「兄弟で誰も同級生じゃないけどさ。同じマンションにB君ていたの覚えてる?」
私「B君、、んー思い出せない、、、」
私たちの住んでいたマンションは複数の棟で構成されており、その敷地内に公園があった。
そこで学年関係なくみんなで遊んでいたので、同級生ではなくても顔や名前は結構覚えていた。
でもB君なんていたっけなぁ。
兄「で、そのB君に弟がいたじゃん。ちっちゃくてチョロチョロしてた子覚えてる?弟の方だよ。けんけんより年下だよ。」
私「だから、俺はB君がまだ思い出せてないんだけど。。B君の弟。。。俺より年下かぁ。」
兄「うん。そのB君の弟はJリーガーになって、日本代表にも選ばれてたよ。代表ではそんなに試合に出てないみたいだけどね。」
私「マジかよ!?」
もうトーストに夢中だった兄はB君の弟はスマホで見せてくれなかったので、
自分でB君の弟の名前を聞いて検索してみた。
サッカーのユニフォームを着たイケメンがこちらを見ている画像が出てきた。
プロフィールを見ると確かにB君の弟というその青年は、当時私たちの住んでいた市の出身で私よりもいくつか年下だった。
イケメンの画像をじっと見つめる。
うーむ。。。
B君の弟ねぇ。。。。
写真を見続けているとふと、
頭の中にある堅くなった引き出しがゆっくりと開くような、
色褪せた写真を見つけたような感じでうっすらとした記憶が段々と蘇ってきた。
そして5歳くらいの子が楽しそうにマンションの公園で遊んでいる映像が思い浮かんだ。
思い出した!!!
B君とその小さい弟!!!
あんなに小さかった子が!!!
みんなの夢だったJリーガーになっていたなんて!!!
日の丸を背負うほどの選手になっていたなんて!!!
ここ数年間で一番の衝撃だった。
この文章の最初の方にも書いたが、
私は小学4年生で引っ越しをしたので彼がサッカーをしている姿はほとんど見たことがない。
だって私が覚えているB君の弟はまだホント幼かったから。
B君とすら一緒に遊んだこともあったかどうか、話したことすらあったかどうか。。
ましてやその弟なんて。。。
正直私は、今の今まで彼のことなど完全に忘れていた。
彼ももちろん私のことなど覚えていないだろう。
でもなんだか感動した。
すげぇよ。
相当努力したんだろうな。
俺が一人でUNOやったり、実況パワフルプロ野球で変な名前の選手を一生懸命作ったりしてる間にB君の弟はめっちゃサッカーの練習をしていたんだろう。
きっとマジでキャプ翼並みにボールとトモダチになれたんだろう。
当然だがB君の弟もウィキペディアで経歴が見られたし、名前で検索すればサッカーをしている画像が沢山出てきた。
何回もすげぇなぁと言いながら、スマホをスクロールしまくった。
頭の中にいるニコニコ遊んでいた幼少期の彼と画像のサッカー選手を比べながら。
そうこうしていると、テーブルの反対側では兄の奥さんと姪っ子が何やらスマホで動画を見て話しているのが聞こえてきた。
楽しそうに兄と姪っ子が家で踊っている動画を見ているようだ。
姪っ子「ゲラゲラ。これ踊ってるとき、手、ぶつけてん。ゲラゲラ。これアレや。パパのお友達が考えたダンスやねん。ゲラゲラ。(関西弁)」
私「へぇー。ダンスやってる友達いるの?」
兄「あーそうそう!ちょうど昔の話してたけど、C君て覚えてる?サッカー部じゃなかったけど。」
私「C君!懐かしい!覚えてる!」
兄「C君は振付師になって(某有名アーティスト)の(代表曲)の振り付けを考えたらしいんだよ。」
ちょっ、ちょ待てよ!
思わず私の心の中のキムタクが叫びたくなってしまった。
私「俺、その曲のCD持ってんスけど!」
兄「へぇ。なんか偶然インタビュー読んでC君の写真が出てたけど、顔はあの頃のままだったね。」
A君、B君の弟、C君のことで頭が処理しきれなくなってきた。
私「すげぇなぁ。兄ちゃんの同級生で有名人が2人。同じマンションからはサッカー日本代表が1人。。みんな相当努力して夢を叶えたんだろうね。」
兄「いやぁ、でも一番努力して有名になったのは幼稚園のとき同じクラスだったD君だね。」
私「はぁ!?まだいんのかよ!汗」
兄「D君はね。●●で●●になったんだけど、こないだの●●で●●になった人だよ。」
私「あー!あの人!知ってる!同じ幼稚園だったの??つーか幼稚園の同級生なんてよく覚えてるな。。」
こうして、もう何年も会っていない人たちのことを思い出した。(D君は全く会ったこともないけど。)
ずっと開けてなかった頭の中の引き出しがいくつか開けられた感じだ。
みんなの人生も私の人生と同じように進んでいた。
もう一生会うことはないんだろうけど、
彼らの記憶の引き出しの中にも私は入っているんだろうか。
連れて帰りたくなるほど可愛かった「けんけん」こと私も30代後半になり、全然可愛くない変なおじさんになったよ。
私は彼らのように特別な職種につくことも、何かを成し遂げるようなこともないのだろう。
いっそ誰か連れて帰ってほしい、俺のこと。養ってくれ!
彼等と比べるつもりはないが、
私は何者にもなれていない。
もう何者にもならないだろう。
毎日モヤモヤして、やりきれない不安な日々を過ごしている。
いまだに将来への不安が消えない。
もうこのままモヤモヤしたまま一生生きていくのかもしれない。
でも自分なりに毎日楽しく暮らしていけたらな。
自分はこういうことが好きでこういうことを頑張ってんだって笑って話せるような人になれたらいいな。
それくらいなら今からでもなれるかな。
彼等のような人生もかっこいいけど、
私は自分の人生に今更後悔はない。
一人でUNOをやったり、実況パワフルプロ野球で変な名前の選手を作ることに捧げた青春というのも悪くはなかった。
それに俺には俺にしか作れない曲だってあるんだから。
家族もいるしな。
そんなことを思った。
最後まで読んでくれた人がいたらありがとう!
ラブ!
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開場:18:45
開演:19:00
料金:3000円
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